
2025年12月現在、連日のニュースで「値上げ」の話題を聞かない日はありません。スーパーに行けば、カゴの中身がこれまでと同じでも、レジで表示される金額に驚くことが増えました。老後を見据えた資金計画や、資産寿命の延伸が欠かせない50代以上の世代にとって、限られた収入や資産の中で、この物価高騰の波をどう乗り越えるかは喫緊の課題です。
しかし、ただ闇雲に財布の紐を締めれば良いというわけでもなさそうです。
50代以上の方を対象に実施した「物価高騰下のシニア消費」アンケートからは、家計の厳しさを感じつつも、「健康」という資産を守るために“あえて節約しない”選択をする、賢い姿が見えてきました。
■7割以上が「家計に打撃」。逃げ場のない「食費・光熱費」の高騰が直撃
最近の物価高が家計に与える影響を聞いたところ、「悪い影響(非常に悪い・やや悪い)」と答えた方は合計で3,921人にのぼり、全体の約72%を占めました。50代以上の世代においても、今回のインフレは「他人事」ではなく、日々の生活を脅かす切実な問題となっています。
特に影響を感じている品目として、圧倒的1位だったのが「食料品(4,921件)」、次いで「水道・光熱費(2,270件)」でした。
趣味やレジャーと違い、これらは「生きていく上で削れない支出」であるため、逃げ場がなく、ダイレクトに家計への痛みを感じている様子がうかがえます。
Q. 最近の「物価高騰」は、あなたの家計(収入と支出のバランス)に、全体としてどのような影響を与えていますか。
![]()
■「ポイ活」と「買い方の工夫」で対抗。シニアの節約術は“経験とIT”のハイブリッド
では、この状況にどう対応しているのでしょうか。具体的な節約行動としては、「食材の買い方を見直した(2,550件)」が最多でした。特売日を狙う、まとめ買いをするなど、長年の生活・家事経験を活かした工夫が光ります。
また、注目すべきは「ポイントサービスやクーポンを積極的に利用している(1,802件)」が上位に入っている点です。「節約=我慢」だけではなく、WEBサービスやスマホアプリなどのITツールも駆使しながら、少しでもお得に買い物をしようとする、前向きな「防衛策」をとっていることがうかがえます。
Q. 物価高に対応するため、実際に行っている「節約行動」はありますか。当てはまるものをすべてお選びください。
![]()
■譲れないのは「食の質」と「健康」。未来への投資は節約しない
ここでの最大のポイントは、何を「節約していないか」です。
多くの品目で節約意識が働く中、あえてお金をかけ続けているものの第1位は「食の質(国産・無添加・美味しさなど)(1,182人が最優先と回答)」、次いで「健康・医療(815人)」でした。
一見、食費を削っている(買い方を工夫している)ように見えますが、安価なだけの食材で済ませるのではなく、「身体に入るもの」の質は落としたくないという強い意志が見て取れます。
若年層と異なり、50代上の世代にとって食の質の低下や運動不足は、そのまま体調不良や将来の医療費増大に直結します。ここを削ることは、目先の節約になっても、長い目で見ればリスクになることをしっかり理解していることが伺えます。
Q. お金をかけているもののうち、あなたが「最も」優先度が高い(節約したくない)ものはどれですか。
![]()
無理な我慢より「メリハリ」を。健康を守るための“賢い選択”が主流に
今回の調査では、物価高という逆風の中でも、シニア世代が「守るべきもの」と「削れるもの」を明確に分けている姿が浮き彫りになりました。
今後の消費行動についても、「節約はしつつ、かける所にはかける(メリハリ)」と答えた方が最も多くなっています。
すべてを切り詰めてストレスを溜めたり、体調を崩してしまっては本末転倒です。
ポイント活用などで賢く出費を抑えつつ、自分自身の身体や心を満たす「食」や「健康」にはしっかりと投資する。そんな「メリハリ消費」こそが、これからの時代を健やかに生き抜くための、シニアの新しいスタンダードと言えるかもしれません。
- 調査テーマ:
- シニアの「贈与・資産承継」に関する意識調査
- 調査方法:
- インターネット調査
- 調査期間:
- 2025年11月15日~17日
- 調査対象:
- 全国の50代以上
- 有効回答者数:
- 5,393人
※本調査は、当社が運営するポイントサイト「Gポイント」の会員を対象に実施しました。調査対象者の特性上、一般層と比較し、スマートフォンの操作やアプリ利用への抵抗が少なく、ポイントサービス(ポイ活)への関心が高い層の回答が中心である可能性にご留意ください。