
「孫消費」という言葉が定着して久しい昨今。かわいいお孫さんの喜ぶ顔を見るためなら、財布の紐も緩みがちになるのが祖父母の気持ちです。
しかし、物価高や長寿化が進む中で、自身の老後資金を守りつつ、本当に喜ばれる支援をするためにはどうすればよいのでしょうか。
50代以上の方を対象に実施した「お孫さんへの支出に関する意識調査」からは、高い幸福感の一方で、親子間(祖父母と孫の親)の連携が希薄なまま支出が行われている実態が浮き彫りになりました。
■会うのは「年に数回」。たまの再会だからこそ「イベント消費」にお金が動く
お孫さんと過ごす頻度を聞いたところ、「年に数回(お盆や正月など)」が601人と最も多く、全体の約3割を占めました。遠方に住んでいるなどの理由で、日常的に会える方は意外と少ないようです。
その反面、支出の用途として圧倒的多数を占めたのが「お年玉・お小遣い(1,201件)」と「プレゼント(1,150件)」でした。
普段会えない分、盆暮れ正月の帰省やお祝い事といった「イベント」のタイミングで、まとめてお金を使う傾向が強く出ています。限られた時間で愛情を伝えたいという想いが、こうした「ハレの日」の支出に表れていると言えるでしょう。
Q. お孫さんへの支出の主な用途は何ですか。(複数回答可)
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■「孫の笑顔」が最大の対価。しかし「家計への影響」には小さな不安も
お孫さんへの支出に対する満足度を聞くと、「非常に満足」「ある程度満足」を合わせると7割近くの方が肯定的で、その動機の第1位は「孫の喜ぶ顔が見たいから(935件)」でした。シニアにとって孫消費は、単なる出費ではなく、幸福感を得られる「心の栄養」になっていることがわかります。
しかし、その一方で冷静な視点も忘れてはいけません。支出が自身の生活費や老後資金に影響しているかという問いに対し、影響していないという回答が多数を占めるものの、「少し気になる程度(多少の影響はある)」と答えた方が全体の約3割(431人)いました。
「孫の笑顔」という大きなリターンがあるため、多少の家計への負担には目をつぶってしまいがちですが、これが積み重なると将来的な不安の種になりかねません。
Q. お孫さんへの支出は、あなたの生活費や老後資金に影響していますか?
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■最大の死角は「相談なし」。6割以上が「親子で話し合わない」まま支出
ここでの最大の問題点は、お金の使い方について「家族(孫の親世代)と話し合っていない」ことです。
調査によると、支出に関して「あまり話し合わない」「まったく話し合わない」と回答した人は合計で944人となり、全体の6割を超えました。
多くのシニアが「孫が喜ぶだろう」「親(子世代)も助かるだろう」という“推測”でお金を使っている可能性があります。
しかし、子育て世代の本音としては、大量のおもちゃ(プレゼント)よりも、実用的な「教育費」や「衣類」の援助を求めている場合もあります。話し合いのない支出は、良かれと思った行動が相手のニーズとずれてしまったり、知らず知らずのうちに祖父母側の家計を圧迫したりする「片思いの支援」になるリスクをはらんでいるのです。
Q. お孫さんへの支出に関して、家族(あなたのお子さん世代)と話し合うことはありますか。
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「なあなあ」の支出から「戦略的支援」へ。帰省時は会話のチャンス
今回の調査では、お孫さんへの支出が高い幸福感を生んでいる一方で、その使い道や金額について、親子間でのコミュニケーションが不足している現状が明らかになりました。
シニア世代の資産は無限ではありません。「孫のため」を思うなら、一度立ち止まり、お子さん世代と「今、本当に必要なものは何か」を話し合ってみてはいかがでしょうか。
「なんとなくおもちゃを買い与える」から、「教育費の一部を負担する」「記念日の旅行代を出す」といった具合に、お互いの家計状況や方針を共有した上で支出を行う。そうすることで、シニア側の家計の不安も解消され、子育て世代にとってもより有意義な「生きたお金」となるはずです。次に家族みんなで顔を合わせる時は、そんな「作戦会議」の良い機会かもしれません。
- 調査テーマ:
- お孫さんへの支出に関する意識調査
- 調査方法:
- インターネット調査
- 調査期間:
- 2025年11月16日~18日
- 調査対象:
- 全国の50代以上・孫がいる方
- 有効回答者数:
- 1,649人
※本調査は、当社が運営するポイントサイト「Gポイント」の会員を対象に、インターネット調査を実施しました。