
人生100年時代、住まいのあり方はかつてないほど重要になっています。年齢を重ねるにつれ、ライフスタイルや身体の変化が訪れますが、多くの50代以上は「住み慣れた我が家」での生活継続を望んでいます。50代以上の方を対象に実施した「住まいにかける費用の意識調査」から見えてきたのは、「我が家への愛着」と、現実的な「将来の身体への備え」との間に潜むギャップでした。
■「終の棲家」は今の家で。過半数が「住み続ける」意向も、約3割は「ノープラン」
現在の住まいに関する今後の希望を聞いたところ、「今の住まいをリフォームして住み続けたい(1,719人)」と「リフォームなどもせず住み続けたい(1,636人)」を合わせると3,355人となり、全体の53.7%が「現在の住まいに住み続ける」ことを選択しました。 住み慣れた地域、愛着のある我が家でこれからも暮らしたい、という「定住志向」が、50代以上の世代のスタンダードであることがわかります。
しかし、ここで見逃せないのが「特に考えていない(1,756人)」という回答です。 実は個別の選択肢として見ると、「リフォームして住み続けたい」派を抑え、「特に考えていない」が最も多いという結果になりました。「住み続けると決めている人」と「将来の住まいについてまだ向き合っていない人」に二極化しており、後者の場合、身体の自由が利きにくくなった際に選択肢が狭まるリスクも懸念されます。
Q. あなたの「住まい」に関する、今後の希望として最も近いものをお選びください。
![]()
■気になるのは「水回り」。年齢に伴う事故への対策意識は?
今後リフォームしたい箇所として最も多くの票を集めたのは「浴室(お風呂)」で1,292件でした。次いで「キッチン(1,099件)」「トイレ(937件)」と続き、毎日使用する水回りの老朽化や使い勝手を気にする方が多い結果となりました。浴室やトイレのリフォーム意向が高いことは、結果としてヒートショック対策につながる好機と言えます。
一方で注目すべきは、これからの年代にとって命にも関わる転倒事故が起きやすい「玄関・廊下」の整備(376件)への意識が、相対的に低くなっている点です。
「綺麗にする」「新しくする」ことには目が向いていますが、「年齢に伴う事故を防ぐ」視点はまだこれからと言えるかもしれません。
Q. ご自宅で今後「リフォームしたい」または「リフォームの必要性を感じている」と感じている箇所はどこですか。(複数回答可)
![]()
■リフォームの最優先は「信頼」と「安さ」。「安全性」は後回しに
リフォームにおいて何を「最も重要」と考えるかを聞いたところ、1位は「業者の信頼性・技術力(1,517人)」、2位は「費用の安さ(1,078人)」でした。悪質リフォームなどのニュースも多い昨今、「騙されたくない」「失敗したくない」という防衛意識の高さがうかがえます。
しかし、これから年齢を重ねていく上で最も切実な課題であるはずの「安全性(バリアフリー、耐震、防災など)」を最重要に挙げた人は、わずか453人(約7.3%)にとどまりました。
「快適性・利便性」よりも低い順位となっており、「将来の身体の変化に備えるためのリフォーム」という意識は、まだ十分に浸透していない現状が浮き彫りになりました。
Q. ご自宅のリフォームを行う(または、行うと仮定した)場合、あなたが「最も重要」だと感じるポイントを一つだけお選びください。
![]()
長く住み続けるためにこそ、「安全性」への投資を
今回の調査では、多くの方が「今の家に住み続けたい」と願う一方で、住まいのアップデートにおける優先順位は「業者の信頼」や「見た目の綺麗さ・安さ」に偏っている実態が明らかになりました。
50代からのリフォームは、単なる修繕ではありません。10年後、20年後の自分を守るための「投資」でもあります。玄関・廊下での「転倒防止(段差解消・手すり)」対策としてのリフォームを最優先事項の一つに引き上げること。そして浴室のリフォームを検討する際は、単にユニットバスを新しくするだけでなく、「断熱性(ヒートショック対策)」や「手すりの位置」など、「安全性」についても重要なポイントして検討することが、結果として長く安心して暮らせる「理想の住まい」を実現する鍵となるでしょう。
- 調査テーマ:
- 住まいにかける費用の意識調査
- 調査方法:
- インターネット調査
- 調査期間:
- 2025年11月15日~17日
- 調査対象:
- 全国の50代以上
- 有効回答者数:
- 6,155人
※本調査は、当社が運営するポイントサイト「Gポイント」の会員を対象に実施しました。