
従来の健康保険証の利用が原則終了となり、2025年12月2日から、いよいよ「マイナ保険証」へ完全移行(暫定措置あり)となった生活が始まりました。
「便利になる」という政府の呼びかけと、「本当に大丈夫?」という不安や不慣れから感じる不満。50代以上の方は、その狭間で揺れ動きながらも、新しい仕組みに向き合っています。
50代以上の方を対象に行ったアンケート調査からは、多くの人が葛藤を抱えながらもルールに従って移行を済ませ、現場でも冷静に対応している実態が明らかになりました。 しかし、その裏側には、「便利になった実感のなさ」と「抱え続ける巨大な不安」という、解消されないモヤモヤが横たわっています。
今回は、アンケート結果の多数派の声から見える、納得しきれない中でも適応しようとする「50代以上の現実」と、これからの付き合い方を分析します。
■「不満はあってもやることはやる」。期限直前に見せた、登録率75%の”順応力”
「2025年12月2日からマイナ保険証に完全移行」―― 国がそう旗を振った以上、本来であれば利用登録率は100%に近づいているはずです。しかし、2025年12月6~8日に実施したアンケート結果においても、それとは異なる現実を突きつけています。
「マイナンバーカードを持ち、保険証利用登録も済んでいる」と答えた人は、全体の約75%(4人に3人)にとどまりました。 逆に言えば、4人に1人(約25%)もの人が、期限直前になっても「マイナ保険証を使わない(登録しない・カードを持たない)」という選択をしたことになります。
その理由を聞くと、「必要性・メリットを感じない(670件)」を筆頭に、「個人情報漏洩への不安(609件)」「国への不信感(575件)」が上位を占めました。「手続きが面倒だから」ではなく、「あえて登録しない」という意思表示をしている層が一定数存在する。これは単なる「デジタルへの不慣れ」で片付けられる問題ではありません。回答者からは「マイナンバーカードは任意のはずなのに、保険証を紐付けるのはおかしい。強引なやり方に反発を覚える」(60代男性)、「便利になるのは良い事だと思うが、セキュリティ面での不安が払拭されないまま進めるのはどうかと思う」(50代女性)というように制度の進め方に対する戸惑いの声が多く寄せられました。
このように、根強い不信感を抱く人は少なくありません。しかし、見方を変えれば、そのような葛藤を抱えながらも、4人に3人は新しい仕組みを受け入れ、順応しようとしたことになります。
また、未登録の25%の方は、決して頑固なだけということではないでしょう。「2026年3月末までは従来の保険証が使える(※)」というルールを理解し、「今はまだ様子を見る」という賢明な選択をしているとも捉えられます。 自分のペースで移行のタイミングを見極める。この「冷静な判断力」こそが、50代以上の特徴と言えます。
(※)2026年3月末までは特例措置として、期限切れの保険証を持参しても医療機関で保険診療(1〜3割負担)を受けられますが、これは「マイナ保険証」または「資格確認書」への移行期間の混乱を避けるための暫定措置で、原則としてはマイナ保険証か資格確認書が必要です。
Q. 「マイナンバーカード」の所有および「健康保険証としての利用登録」の状況について、あてはまるものをお選びください。
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■ メリットは「まだ感じない」。それでも淡々と使いこなす“50代以上の対応力”
「使えてはいる」。しかし、そこに「満足」があるかといえば、話は別です。今回の調査でインパクトが大きかったのは、マイナ保険証を使って感じたことについて、「特にメリットを感じたことはない」という回答が約3,700件でトップだったことです。
政府は「データ連携によるより良い医療」「手続きの簡素化」を掲げていますが、多くの人たちにとって、それはまだ実感の湧かない遠い話です。むしろ、約1,000人が感じた「従来の保険証を見せるだけの方が早い」という感想が、偽らざる本音ではないでしょうか。
利用者の声を拾うと、「保険証の時代は診察券と一緒に渡せば済んだのに、いちいち自分で読み取り装置に置くのが面倒」(60代男性)、「顔認証がうまくいかずエラーになった。マスクや眼鏡を外したり手間取る」(60代女性)のように、手順が増えたことへの率直な意見が目立ちます。
「カードを出して、認証して、同意ボタンを押して…」という手間が増えただけで、自分への見返り(メリット)が見えない。しかし、それでも多くの人が「決まったことだから」と割り切って利用しています。 不満を感じつつも、社会のシステムに合わせて行動を変えていく。新しいシステムに対する『健全な警戒心』を持ち、リスクを想定して慎重に対応する。その上でやるべきことをやり遂げる対応力が、50代以上の世代の強みと言えます。
【対策】今は「未来への投資期間」と割り切る
現時点では、高額療養費制度の利用など特定の場面以外で恩恵を感じにくいのが正直なところかもしれません。しかし、マイナ保険証の利用は、既に「マイナンバーカードと保険証が別々ではなく1枚になること」や「お薬手帳を忘れても過去の薬を医師や薬剤師に確認してもらえる」といったメリットを生み出しています。
実際に、 「入院や手術の際、『限度額適用認定証』の手続きなしで高額療養費制度が使えたのは助かった」(50代男性) 、「初めて行く病院でも、住所などの記入が不要でスムーズだった」(60代女性) といった効果を実感し始めている人もいます。
今はまだこれらのメリットを全て実感できなくても、「将来、自分の医療データが正しく蓄積され、自分を助けるための準備」と捉え直してみましょう。視点を「今」から「未来」に変えるだけで、日々の使い心地も変わってくるはずです。
Q. マイナ保険証を使って「これは便利だ・良かった」と感じたことはありますか?(複数回答)
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■「6,000人の警戒心」。不安を感じるのは、リスク管理能力が高い証拠
問題なく使えている層も含め、大多数が感じているのが「セキュリティへの根源的な不安」です。マイナ保険証への反対・不安点を聞くと、「カードの紛失・盗難による悪用リスク(約6,000件)」と「システム障害やエラーへの不安(約6,000件)」が他を圧倒しました。これは、「操作がわからない」といった実務的な不安の約3倍にあたります。
この数字の裏には、「何でもかんでも1枚のカードに持たせるのは、紛失時に大変なことになる。リスク分散のためにも分けたい」(50代女性)、「持ち歩くこと自体が怖い。落とした時のリスクを考えると家で保管したい」(70代女性)、「システム障害で使えない時があった。アナログの保険証も残してほしい」(60代男性)のように切実なリスク意識があります。
また、「紛失への不安から、持ち歩くのを避けるようになった」という人が約1,800人いました。本来、常に携帯して活用すべきカードなのに、「重要すぎるから持ち歩きたくない」。一見矛盾しているようですが、これは「個人情報の重み」を知っている大人だからこその、正常な防衛本能です。 何も考えずに持ち歩くのではなく、リスクを想定して慎重になる。この「健全な警戒心」を持っている50代以上の方々なら、大きなトラブルに巻き込まれることなく、安全に運用していけるはずです。
【対策】「物理的な管理」で安心を買う
デジタル上のセキュリティ(ハッキング等)は個人ではどうにもなりませんが、紛失対策は自分でできます。「病院に行くときだけ出す専用ケースに入れる」「バッグの定位置から動かさない」など、物理的な管理ルールを徹底しましょう。また、「暗証番号を覚えきれなくなってきた」という声も2,000件を超えています。記憶に頼らず、アナログなメモを(カードとは別の場所に)保管することも、立派なセキュリティ対策です。
Q. マイナ保険証に反対する点、または不安を感じる点があれば、あてはまるものを全てお選びください。(複数回答)
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「不安」の先にある「真の利便性」へ。データがつながり、医療が変わる未来はすぐそこに
今、多くの50代以上の方が「便利になった実感のなさ」を抱えながらも、マイナ保険証の利用に順応しています。しかし、政府が目指す「医療情報がつながることで、より良い医療を受けられる基盤」の整備は、今後、50代以上の方が懸念する「不安の解消」と「利便性の向上」に直結していきます。
今後は、電子カルテ情報共有などの仕組みの導入も進み、「初めての病院でも自分の体質や病歴を正確に伝えて、最適な治療を受けられる」環境へ近づいていきます。
「面倒だ」「不安だ」と感じながらも、多数の方は登録を済ませ、とまどいながらも利用を始めています。 今はまだ過渡期。これらの「未来への投資」が実を結び、「真の利便性」を享受できる日は間もなく訪れ、このデジタル化の波もきっと乗りこなしていけるはずです。
- 調査テーマ:
- マイナ保険証の利用実態に関するアンケート
- 調査方法:
- インターネット調査
- 調査期間:
- 2025年12月6日~12月8日
- 調査対象:
- 全国の50代以上
- 有効回答者数:
- 11,536人
※本調査は、当社が運営するポイントサイト「Gポイント」の会員を対象に実施しました。 ※本調査は当社が独自に実施した意識調査です。政府・公的機関とは関係ありません。また、本調査において個人のマイナンバーや暗証番号の取得は行っておりません。