
近年、「人生100年時代」という言葉が広く聞かれるようになりましたが、実際に50代以上の方々がこれに対しどのような感情を抱いているのでしょうか。
この度、50代以上の方々を対象に、「人生100年時代と聞いて、どう感じるか?」をアンケート調査いたしました。調査結果によると、「どんよりする」または「どちらかというとどんよりする」と回答した層の割合が44%(6447人)に上り、「ワクワクする」または「どちらかというとワクワクする」と回答した層の割合の25%(3754人)を大きく上回りました。
また、「わからない」と回答した層の割合は31%(4589人)となっており、長寿化の現実に対する戸惑いや、自身の未来が不透明であるという複雑な心境が浮き彫りになりました。
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「どんより層」の主な懸念事項
長寿化に対して否定的な感情を抱く回答者の理由からは、主に「健康」「金銭」「社会負担」の3点における不安が確認されました。
懸念1:健康寿命と寿命のギャップ(寝たきり・認知症への恐怖)
「健康寿命」の不安: 100歳まで健康でいられる自信がないという意見が多数見られました。健康寿命が長寿に追いついていないという認識が根強く、「健康でなければ意味がない」との声が多く挙がっています。
介護・認知症への恐怖: 寝たきりや認知症の状態になってまで長生きしたくないという切実な願いが多くの自由回答に見られます。特に、他人に迷惑をかけることへの強い懸念が、長寿を望まない大きな理由となっています。
健康な状態での人生の完結を望む声: 「元気で溌剌としているうちに人生を終えたい」「元気なうちにポックリ逝きたい(ピンピンコロリ)」といった声も目立ちました。
懸念2:老後資金の枯渇と経済的不安
長寿化は、その期間を支える経済的な裏付けが必要であるという現実的な問題に直面しています。
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お金と健康の不安: 「長生きしてもお金と健康が不安である」という意見は中心的な理由の一つです。特に「お金がもたない」「資金が続かない」といった生活費の枯渇に対する懸念が非常に大きいことがわかりました。
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年金制度への不信: 「年金生活の不安がある」や、「今の日本は、長生きするだけの価値がない。年金は年々減り、支給開始年齢も上げられ、何も期待できないから」 といった、公的年金制度への期待の低さや不信感が長寿化を憂鬱にさせています。
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労働期間の長期化: 100歳まで生きるとなれば、「何歳まで働けば良いのだろう?と考えると「どんより」した気分になる」、「死ぬまで働けと言われているみたい」 といった、半強制的な労働延長への疲弊感も背景にあります。
懸念3:社会システムへの懸念と構造的な重圧
日本の未来や社会環境に対する悲観的な見方も、長寿への意欲を削いでいます。
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未来への希望の欠如: 「明るい未来が全く見えない」といった、社会全体の活気のなさや未来への希望の欠如を、長寿を歓迎できない大きな理由として挙げる人も少なくありません。
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生活費の増大と負担感: 「収入が減るのに支出だけが増えていくイメージ」 や、「生活費・医療費が不足する事が不安」 といった、物価高騰や公的負担の増加が、老後の生活を圧迫することへの不安が根強くあります。
「ワクワク層」の主な理由と前向きな姿勢
25%を占める「ワクワク層」は、長寿化を「時間的な余裕」と「可能性」として捉えています。
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やりたいことへの挑戦: 「まだまだこれから」と思える ことから、「いろいろなことにチャレンジする時間が増える」、「やりたいことがたくさんある」 という前向きな声が多く見られます。
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趣味と自由な時間: 特に退職後や定年後を見据え、「自由な時間がたくさんある」、「趣味を満喫できる」、「旅行にたくさん行ける」 など、これまで仕事などで費やせなかった時間を自分のために使えるという期待がモチベーションになっています。
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社会の変化への好奇心: 「これから世界がどうなっていくのかが見てみたい」 や、「新しい技術や文化を経験していけるのは楽しい」 など、未来の技術や世界情勢への好奇心もワクワク感につながっています。
- 健康への意識: 自身が健康であること や、「健康維持に努めています」 といった、長寿を実現するための努力を前向きに捉える姿勢も見られます。
「わからない層」の分析
31%を占める「わからない」層の回答は、単純な無関心ではなく、長寿化の結末が「条件付き」であることの裏返しです。
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「健康であればワクワクするが、そうでなければどんよりする」という両極の感情を抱えています。
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具体的には、「100歳時点での自分の状態による」、「健康状態と経済状態で高齢になる不安感が違ってくる」 といった、不確定要素が大きすぎるため、現時点で判断ができないという現実的な認識が反映されています。
本調査結果は、50代以上の方々が「人生100年時代」を単なる寿命の延長としてではなく、健康寿命と生活資金の保証がなければ、むしろリスクであると認識していることを示しています。
長寿化をポジティブに捉える層は、主に自分の時間を使ってやりたいことに挑戦できるという「可能性」に期待を寄せています。しかし、半数以上が不安を感じるか、または未来の状態次第であると答えており、長寿社会を真に「ワクワクする時代」とするためには、個人が自由に活動できる期間(健康寿命)を最大限に延ばすための支援と、老後生活を経済的に安定させる公的な保障や資産形成の明確化が、喫緊の課題であることが示唆されました。
人生100年時代を、長寿による「苦痛の延長」ではなく「機会の拡大」と捉えられる社会を築くことが、今後の重要なテーマとなるでしょう。
- 調査テーマ:
- ライフスタイルに関するアンケート
- 調査方法:
- インターネット調査
- 調査期間:
- 2024年2月9日~2月15日
- 調査対象:
- 全国の50代以上
- 有効回答者数:
- 14,790人
※本調査は、当社が運営するポイントサイト「Gポイント」の会員を対象に、インターネット調査を実施しました。